ぺむたとピスタット

ぺむたとピスタットの交換日記

エバポレーター

ぺむた、

「ピスタットから見た世の中を見せてよ。」

で、ふわっと涙が出ちゃったわたし、変でしょうか

年ですね。

 

わたしが見える世の中には、まだ見えないものがたくさんあって、

杞憂したり、もどかしかったり、恋したりしています。

わたしの周りはたくさんのきれいなもの、腹が立つものや愛しいもの、許せないもの、悲しいものが漂っていて、

急に見えるようになったり、跡を残して消えていったり。

 

机に少しこぼしたお茶が、いつの間にか蒸発して、輪郭だけ残したシミみたいな痕を、

指でなぞって考え込むような世の中です。そういうことが多い。

痕には緑茶が濃縮されてるんだよね、たぶん

 

 

ピスタットは植物を使った研究をしています。

採集した植物を、いろんな溶媒で抽出します。

水で抽出すると植物らしい渋さのある色が出るし、有機溶媒で抽出するとステンドグラスのように硬質で透き通った色が出ます。

それを丸くてかわいいナスフラスコに入れて、装置に取り付けてエバポレートスタート。

ナスフラの中は空気を抜かれて減圧されながら、ぐるぐるまわる。

急に圧力を下げると突沸しちゃうし、結構時間がかかるものもあったり、ある程度見てあげてなきゃいけない。

 

ワインのように暗い赤、

沖縄の夏の木の濃くてクチクラ層がキラキラした緑、

濁った土色、

歯ざわり柔らかな新芽の若草色たち、

その液が体積を減らしながら、濃縮されて、ガラス壁面に年輪のように痕を残していきます。

フラスコを回すスピード、減圧具合で輪っかの間隔も変わる。

 

蒸発して消えたものは、中々落ちない痕をのこしますね。

過程はいろいろ、全部を覚えてはいられないけど、最後に残った濃縮液のそれは濃く、とても色鮮やかで、壁面にこびりついて残ります。

 

ピスタットはこの実験が結構好きです。

あまりよそ見をせずに、眺めていることが多い。

友人はすぐ飽きて別のことをして、突沸させたりして落ち込むことが多いけれど、

ずっと見ててもたまに大きい泡が出て慌てたり。

 

こびりついた成分は適切な溶媒でゆっくり溶かし出して、小さな瓶に入れて保存します。

最初の抽出液よりも、透き通っていて綺麗です。

思い出の保存です。

処理の方法は植物によるけれど、全然溶けない、落ちないものもあって、時間がかかるし大変。まあ、しょうがない。

 

綺麗な色したそれらは、また次の実験の時に使うので、それまでしばらくお休みです。

 

 

こんな感じかなあ。

本当はもっといろいろあるけれど、とりあえず好きな実験のことだけ書きました。

最近いろんなことがいっぺんに終わったのだけれど、うまく痕を処理できないのがいくつか。

 

時間かけていこうね。

それじゃ!